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2016年3月

2016年3月25日(金)

重篤な症状をきたす果物アレルゲン

2016年3月25日(金曜日)

昨日夜には西宮市皮膚科医会講演会が開催され、広島大学医学部皮膚科教授の秀 道広教授による「見逃しやすい成人の食物アレルギー」とのタイトルの御講演を拝聴しました。
大変興味深い内容の御講演でしたが、今回はそのうちの果物アレルギーの原因抗原に関するお話について述べたいと思います。

果物を食べた直後に口唇が腫れたり咽喉がイガイガしたりするという、いわゆる"口腔アレルギー症候群"というタイプの患者さんはしばしば経験しますが、このような方はオオバヤシャブシやハンノキ・シラカンバなどの花粉類アレルギーに罹患しておられ、花粉アレルギーとの交差反応によって果物アレルギーをきたすとされています。
但し、このタイプのアレルギーでは通常は全身症状はきたさないのですが、それでも果物類によるアレルギーの場合でもアナフィラキシーショック等の重篤なアレルギー反応をきたす場合も存在はしています。

秀先生のお話では、このような臨床症状の違いは原因となる抗原の差異に依存しており、口腔アレルギー症候群の原因抗原となるプロフィリンやPR-10蛋白による反応の場合には、通常は重篤な症状をきたす事はありません。
しかし、果物アレルギーの原因抗原としては、それ以外にもLTP(Lipid Transfer Protein)や貯蔵蛋白などが存在しており、このような抗原によるアレルギー反応の場合には、たとえ果物類アレルギーの場合にも重篤な全身性反応をきたす可能性があるとの事でした。

現在のところ、残念ながらどの抗原が原因抗原になっているかという事を保険承認下で測定する事は出来ません。
しかし、もしそのような事が可能になると、果物類を含めた食物アレルギーの診断と対応がより容易となりますので、近い将来に保険承認下での測定が可能になる事を切に期待したいと思います。
   

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