2022年5月16日(月曜日)
一昨日の土曜日、診療終了後に三ノ宮で開催された兵庫県臨床アレルギー研究会に出席してきました。大変興味深い発表の多い意義深い研究会でしたが、兵庫医大免疫内科の田村誠朗先生が発表されたユズアレルギー症例がとりわけ印象深かったため、ここに紹介させて頂きます。
患者さんは、過去にコンビニのお弁当を摂取後に2回アナフィラキシーショックを繰り返したとの経過でしたが、お弁当中の共通の食材としてユズドレッシングが含まれていたとのことでした。私の興味を惹いた最初のポイントとして、ユズ現物を食べたのではないのに、共通の食材として存在していたユズドレッシングから良くユズアレルギーに辿り着いたなあと感服してしまいました。また、ユズアレルギーの報告は過去には1〜2例しか存在していない稀なアレルギーなのですが、今回原因抗原の検索を行われたところ、immunoblottingで25kDaの分子量の抗原が疑わしいと考えられたとのことでした。そして、この抗原はオレンジのアレルゲンコンポーネントの1つであるCit s 1と交差反応性があると考えられましたが、ここで私の興味を惹いた2番目のポイントとして、Cit s 1とはGermin-like proteinというかなりマイナーなアレルゲンですので、この様なマイナーなアレルゲンが主要抗原として作用しているという可能性に対してもかなり驚いてしまいました。
但し、今後この様にこれまではマイナーだと考えられていたアレルゲンが重要な役割を果たしている新規アレルギーが見つかる可能性も否定出来ないため、食物アレルギーからはまだまだ目を離す事が出来ませんね。