特に、消化管が未熟な乳幼児期には食物アレルギーを生じやすいと考えられています。この時期の食物アレルギーの原因として、卵・牛乳・小麦が3大アレルゲンとして挙げられています。臨床症状は、1)このような食物を食べた直後に蕁麻疹や嘔吐・下痢・喘息様の症状などをきたすアナフィラキシーショックを生じる場合と、2)アトピー性皮膚炎の乳幼児において、このような食物アレルギーがアトピーの増悪因子として関与している場合とに大別されます。特に卵・牛乳のアレルギーは、成長に伴って消化管が成熟する事により軽快してくるとされていますが、近年その他の様々なパターンの食物アレルギーが増加しつつあります。
その代表例としては、特定の食物摂取後に運動負荷が加わった場合に限ってアナフィラキシー症状をきたす食物依存性運動誘発アナフィラキシーという疾患が挙げられますが、この疾患は特に10歳代の中学生〜高校生世代に好発するとの特徴があります。また、花粉症の患者さんが特に果物類を摂取した後に咽喉がイガイガしたり口唇が腫れてくるなどの症状をきたす、口腔内アレルギー症候群という疾患にも注目が集まっています。
多くの医療機関では、食物アレルギーに対して血液検査で特異的IgEという項目を調べる事で診断を行なっていますが、本来は血液検査のみならず皮膚テストも併用の上、両者の結果から総合的に判断する事がより望ましいとされています。当院では、食物アレルギーの検索に関して、血液検査のみならずプリックテストなどの皮膚テストも積極的に施行いたします。