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2022年10月

2022年10月12日(水)

小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの新規アレルゲンalpha/beta gliadin MM1

2022年10月12日(水曜日)

去る、10月9日(日)に東京国際フォーラムで開催された日本アレルギー学会学術大会に出席してきました。興味深い話題がいくつもありましたが、今回は藤田医科大学アレルギー疾患対策医療学の青木先生が発表された小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの新規アレルゲンalpha/beta gliadin MM1についてお話します。

小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(以下WDEIA)とは、特に成人において稀ならず発症しうる疾患であり、小麦アレルギーであるにも関わらず小麦製品を食べるだけでは症状は起こらず、直後に運動をしたり鎮痛剤を服用したりする事で突然重篤なアナフィラキシー症状を発現する事を特徴とします。これまでには、WDEIAの主要アレルゲンは小麦のグルテン中のグリアジンの1種であるω-5グリアジンが主要抗原であるとされていました。但し、ω-5グリアジンが原因抗原として関与するのはWDEIAの8割程度であり、残りの2割は高分子量グルテニンが原因アレルゲンであろうとされていましたが、詳細は不明でした。しかし、この度青木先生達のグループはalpha/beta gliadin MM1がWDEIAの発症に大きく関わっていることを発見し、報告されました。彼らのデータによると、alpha/beta gliadin MM1はω-5グリアジン陽性WDEIAの88%、ω-5グリアジン陰性WDEIAの100%で陽性であり、反面高分子量グルテニンは10%程度の反応性しか示さなかったそうです。従って、WDEIAの大部分の症例ではω-5グリアジンとalpha/beta gliadin MM1との共感作であり、かつω-5グリアジン陰性WDEIAの主要抗原はalpha/beta gliadin MM1であると考えられます。

今後、もしalpha/beta gliadin MM1特異的IgEの測定が可能になればWDEIAの診断がより容易になりますので、そうなることを切に願っています。

 

   

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