2021年11月21日(日曜日)
今回の話も先月に続いて、本年10月に横浜で開催された日本アレルギー学会総会から学んできた知識です。
これまでもビールアレルギーは稀ならず報告されてきましたが、過去の報告では原因物質はホップ、ビール酵母、大麦などによる場合が主体であり、麦芽を原因とする報告は比較的稀でした。しかし、今回横浜市立大学皮膚科の鈴木先生が報告された1例および藤田医科大学総合アレルギー科の二村先生が報告された4例は全て、麦芽を原因抗原とするビールアレルギー症例でした。
そもそもビールとは、麦芽を酵母によってアルコール発酵させて作られた飲料ですが、このうち麦芽を50%以上含んだものが真のビールであり、50%以下のものは発泡酒と称するそうです。麦芽アレルギーの原因抗原には様々な報告がありますが、現在ではproteinZとHor v 7k-LTPという2種類の蛋白が麦芽アレルギーの主要な原因抗原であると考えられています。但し、LTP(Lipid Transfer Protein)は果物アレルギーなどの原因抗原としても作用しますが、Hor v 7k-LTPは他のLTP類との交差反応は示さないことを特徴とするとの事でした。
さらに特記すべき事は、二村先生が報告された4症例はすべてビールを扱う仕事に従事していた既往があるそうで、麦芽を原因とするビールアレルギーの場合には飲む事自体ではなく、ビールが手に付着した事で経皮的感作によって発症するとの可能性が考えられます。
それにしても、個人的にはビールアレルギーは最もなりたくないアレルギーですね(笑)。