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2020年9月

2020年9月8日(火)

アナフィラキシーにおけるPAFの役割

2020年9月8日(火曜日)

PAF(platelet-activating factor)とは肥満細胞などから放出されるケミカルメディエーターの一種であり、アレルギー反応の惹起、増強に重要な役割を果たしていると考えられています。

近年さらに、PAFは重篤なアレルギー反応であるアナフィラキシー反応の発症に強く関与していることに注目されています。その根拠として、1)アナフィラキシーを発症した場合の血清中PAF濃度は平常時と比べて大幅に増加しており、かつその濃度はアナフィラキシーの重症度と相関する。(Vadas P et al:N Engl J Med,2008;358、28-35)、2)PAF以外のアナフィラキシー発症に関与する因子と考えられているヒスタミンやトリプターゼと比較して、症状発現時には血清PAF濃度がアナフィラキシーの重症度と最も強く相関していた。(Vadas P et al:J  Allergy Clin Immunol、2013;131、144-149)、3)マウスのピーナッツ誘導性アナフィラキシーモデルに対して、抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、PAF阻害薬を処方したところ、抗ヒスタミン薬や抗ロイコトリエン薬はいずれも無効であり、PAF阻害薬だけが有効であった。(Arias K et al:J Allergy Clin Immunol、2009;124、307-314)、などの報告が存在しています。

今後、早期にPAF阻害剤を用いることによって、もしアナフィラキシー発作の重症化を未然に予防することができれば大変素晴らしいですが、果たしてそのようなことが可能になるのかどうか私自身も注目して見守っていきたいと考えています。

   

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