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2008年12月

2008年12月1日(月)

アレルギー学会に行ってきました ②

日本アレルギー学会とは、皮膚科のみならず、内科特に呼吸器科・耳鼻科・眼科・小児科など様々な診療科の医療関係者が集う大規模な学会ですので、約14カ所の会場において同時進行で様々なテーマのセッションが催されます。

今回、私は食物アレルギーのセッションとアトピー性皮膚炎のセッションを中心に参加しました。
アトピー性皮膚炎に関しては、その免疫的な発症機序を解析するという基礎研究の発表が多かったのですが、臨床的に興味深かったのが「腸内細菌とアトピー性皮膚炎」というお話でした。

最近、腸内細菌の過剰な除去によって免疫的なアンバランスが生じ、それによってアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の発症の増加につながるとの見解が主流となりつつあります。そのため、お母さんの腸内にビフィズス菌などの善玉腸内細菌を増加させると、生まれてくる赤ん坊にアトピー性皮膚炎が起こりにくいとの可能性も期待され、プロバイオティクスという腸内細菌を増加させる食物を予防投与するとの試みが行われているとの事です。果たして、このような試みがどの程度有効であるかについては未だ確立したデータは存在していないようですが、今後の研究の成果を待ちたいと思います。

アレルギー学会に行ってきました ①

2008年11月30日 去る11月27日(木)〜28日(金)はクリニックを休診にさせて頂いて、東京有楽町の国際フォーラムで開催されている日本アレルギー学会に参加してきました。そして食物アレルギーのセッションで、私も「魚アレルギー」の症例に関する検討結果の報告を行いました。


魚アレルギーは世界的にはありふれた現象であり、欧米では成人全人口の0.1〜0.4 %が魚アレルギーに罹患しているとの報告があります。しかし、日本人の場合には不思議な事に、魚の摂取量は世界的にも非常に多い国であるにも関わらず、魚アレルギーの発症は非常に稀なのです。

さらに、欧米での研究結果では、魚アレルギーの患者さんの95%以上はパルブアルブミンという筋肉中のタンパク質が、アレルギーを生じる原因抗原であると考えられています。しかし今回の私たちの検討では、抗原検索を行った3症例中パルブアルブミンが陽性であったのは1例のみであり、反面コラーゲンが陽性を示した症例が2例認められました。


このような結果より、日本人の場合には魚類を摂取しても欧米人に比べてパルブアルブミンに対する感作が生じにくいため、魚アレルギーが起こりにくいのではないかとの考察を加えました。今後さらなる検討を行っていきたいと考えております。

   

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