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2021年3月

2021年3月9日(火)

コロナワクチンによるアナフィラキシー

2021年3月9日(火曜日)

日本でもそろそろコロナワクチンの接種が開始され、それに伴い患者様方からは「私はコロナワクチンを接種しても大丈夫でしょうか?」との質問を多く受けます。確かに、ワクチンの主成分である二本鎖RNAに対する特異的IgEが産生される可能性は全くは否定できませんが、基本的には生まれて初めて体内に入る薬剤に対するアレルギーが生じる事は考えられませんので、少なくとも初回接種時にはその様な機序でのアナフィラキシーは起こらないはずです。

むしろ可能性が高いのは、ファイザー社とモデルナ社のワクチン中には脂質二重膜の水溶性を保持する目的でポリエチレングリコール(PEG)が含まれているのですが、PEGに対して既に感作が成立している人において、同剤を原因としたアナフィラキシーが生じうると考えられています。PEGは慢性便秘の治療薬や大腸内視鏡検査前処置薬に主成分として含まれており、その他食品・化粧品・軟膏基剤などにも含まれていますので、これらの製品によるアレルギーの心当たりのある方達はコロナワクチンの接種に注意する必要があります。

既存のワクチンによるアナフィラキシー発症の危険性は100万回当たり1件であるのに対して、コロナワクチン接種によるアナフィラキシー発症の危険性は10万回当たり1件と、約10倍の発症頻度があると報告されてきました。さらに、本日のニュースによると、日本でのコロナワクチン接種によるアナフィラキシー発症例は現時点では7万件で8人と、海外からの発症頻度よりも高率であるとの嬉しくない報告がなされています。とは言うものの、アナフィラキシー発症の危険性は極めて稀ですので、PEGに対するアレルギーの自覚がある方以外は、さほど心配せずにコロナワクチンの接種を受けても大丈夫だろうと私個人的には考えています。

   

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