2021年2月11 日(木曜日)
今回もまた、昨年末に開催されました日本皮膚免疫アレルギー学会で学んだ知識について紹介します。
魚アレルギーは成人の食物アレルギーの第4位を占めており、卵や牛乳と比べて免疫寛容を生じにくく、一旦発症すると10年経っても約80%の人では症状が持続しているそうです。
これまでパルブアルブミンと魚コラーゲンとが魚の2大アレルゲンと考えられており、パルブアルブミンは欧米の魚アレルギー患者の95%で陽性であるものの日本人の魚アレルギー患者での陽性率は60〜70%程度との事です。一方、魚コラーゲンは日本人の魚アレルギー患者の約50%で陽性であり、またほとんどが本邦からの報告であるとの特徴を有しています。ちなみに、魚コラーゲンと哺乳類のコラーゲンとの間には交差反応性は存在していません。
ところが今回、高知大学皮膚科の山本真有子先生は魚アレルギーの新規アレルゲンとして、225〜230kDaの分子量を有したmyosin heavy chainを同定されました。但し、パルブアルブミンが熱安定性であるのに対して、myosin heavy chainは熱非安定性であるため、加熱した魚では抗原性は不活化する様です。ただ、myosin heavy chainも多くの種類の魚類で抗原性を有しているみたいですので、2020年5月に述べたアユ特有のアレルギーのアレルゲンには該当しないと思われます。
アレルギーのどの分野に関しても同じ事が言えますが、話がどんどん複雑化して状況についていくのが精一杯ですが、私自身も頑張ってお勉強していこうと考えた様な次第です。