2021年1月11日(月曜日)
今回もまた、昨年末に行われた日本皮膚免疫アレルギー学会で発表された演題からの紹介です。
Pork-Cat Syndrome (豚肉ーネコ症候群) という疾患については以前にもお話ししたと思います、ネコの有する血清アルブミンであるFel d 2と豚肉の血清アルブミンであるSus sとの間に交差反応性が存在しているため、ネコに接触しているうちにFel d 2に感作されたタイプのネコアレルギーの患者さんでは、やがて交差反応によって豚肉を摂取した後にもアナフィラキシーショックなどのアレルギー反応を生じる事があり、そのような場合にこの病名が用いられています。
ところが、今回横浜市立大学皮膚科の澤田先生らはネコの飼育歴はないものの、犬・ハリネズミ・ハムスターを飼育しているうちにこれらの動物に対する感作が生じ、さらに豚肉・牛肉の摂取後に口腔内のアレルギー症状を発症した症例を報告されました。確かにアルブミンという抗原は各動物間で高い構造類似性があり広範な交差反応性を有しているため、Pdrk-Cat Syndromeにおいてネコ以外の動物のアルブミンが感作抗原となったとしても何の不思議もない訳です。
これまでは、特にネコのアルブミンにおける交差反応性が高いと考えられていましたので、私達も豚肉に対するアレルギーの患者さんが来院された際には、「ネコは飼っていませんか? これまでにネコに対してアレルギー反応をきたしたことはありませんか?」などと問診していましたが、これからはネコ以外にも犬やハムスター・モルモットなど様々な動物に対する飼育歴やアレルギー歴を尋ねていく必要があるようです。