2019年3月3日(日曜日)
昨日は夕方から兵庫県皮膚科医会学術講演会が開催され、私も診療終了後直ちに神戸の会場へ向かいました。
今回のご講演は2演題ありましたが、そのうち1題は昨年10月の本ブログでも紹介した済生会川口総合病院皮膚科主任部長の高山かおる先生による御講演でした。
高山先生は今回は、近年金によるアレルギーが増加しているとの大変興味深い話題を提供して下さいましたので、今回はそのお話について紹介する事にします。
これまで、金属によるアレルギーと言うと、ニッケル・コバルト・クロムなどによるアレルギーが多く、私も患者さんに対して"金や銀などの高価な金属によるアレルギーはかなり稀なのですよ"とお話してきました。
ところが、高山先生によると近年の疫学では、金属によるパッチテストは相変わらずニッケルの陽性率が最多であるものの、次いで金チオ硫酸ナトリウムの陽性率が高いそうです。しかも、金チオ硫酸ナトリウムのパッチテスト液で陽性をきたす患者さんはほとんどがチオ硫酸ナトリウムではなく、金の感作を反映している場合との事でした。
さらに大変興味深い事に、金による感作は日本人で多く、とりわけ高齢者で多いとの特徴が認められているそうです。
この感作経路の詳細に関しては未だ不明ですが、高山先生は歯科金属に意外に多く金が含まれている事が原因ではないだろうかと推察しておられました。
今後私も、"金によるアレルギーは少ないのですよ"という前言を撤回しないといけないですね。