2014年12月14日(日曜日)
今月は年末のため、学会や講演会〜勉強会がなく(忘年会はあるけど...笑)、新しい知識を仕入れる機会がありませんので、最近私が興味をもっているコチニールアレルギーについてお話したいと思います。
コチニール色素とは、カイガラムシの乾燥虫体から抽出した天然の赤色色素の事であり、ジャム・ハム・ソーセージ・イチゴ牛乳・キャンディー・羊羹・蒲鉾などの食品類、口紅・頬紅・マニキュアなどの化粧品類などに多く含まれています。
そして、コチニール色素を含んだ食品摂取後に生じるアナフィラキシー症状が問題視されていますが、驚くべき事にこれまでの全例が成人女性に発症しています。その理由として、コチニール色素を含んだ化粧品の使用によってアレルギーの感作が成立するため、化粧品を使用する成人女性に限ってコチニールアレルギーを発症しうると考えられています。
コチニールアレルギーの発症は、以前にはリキュールの1種であるカンパリを飲んだ後に生じる場合が最多でしたが、2007年以降カンパリにはコチニール色素が使用されなくなりました。この事によって、コチニールアレルギーの発症は著減するであろうと期待されたのですが、以降フランス製赤色マカロンやブラッドオレンジジュースを原因食品とする報告が続いています。さらに特記すべき事は、近年の報告はほとんどが日本人における発症なのです。従って、我が国では特に、フランス製赤色マカロンやブラッドオレンジジュースによるコチニールアレルギーの発症に気をつける必要があると思われます。