2011年1月19日(水)
寒くなって以降、特に女性の手荒れの患者さんが増えてきています。
そこで、今回はまたまた手抜きをして、以前に「香櫨館通信」に掲載した“手荒れについて”のお話しを転用させて頂きます。
皆様も、冬の手荒れの悪化をきたさないように気をつけて下さいね。
アレルギーよもやま話 第10回
手荒れについて
ようやく涼しくなってきましたが、冬が近づくにつれて、手の指が乾燥してきたり亀裂が生じたりして悩まれる方々も主婦層を中心にして少なくないと思われます。そこで、今回は手荒れについてお話します。
俗に言う“手荒れ”には、1)刺激性と2)アレルギー性との2つのタイプが存在しています。刺激性とは、本来手指を守っている皮脂膜の機能が弱くなって防御機構が低下した状態です。家庭の主婦のみならず、美容師さん・飲食店や銀行にお勤めの方などといった手を使用する機会の多い職種の人達に生じる手荒れの多くは、慢性の刺激反応に基づくと考えられています。一方、アレルギー性の手荒れの場合には、何か特定の物質がアレルゲンとなって発症します。刺激性と比べて頻度は少ないのですが、アレルギー性の手荒れでは特定のアレルゲンを見つけ出し、その原因物質との直接の接触を避ける事によって著明な改善を得る事が出来ます。従って、“その患者さんの手荒れの症状が、果たして刺激性なのか?アレルギー性なのか?”を見極める事はとても重要です。
手荒れの治療は、1)皮疹が特にひどい箇所に限局的に使用するステロイド外用剤、2)保湿及び保護目的で手全体に日常的に用いる非ステロイド系の外用剤、の併用が原則的な治療法です。また、手荒れの予防としては、アレルギー反応や刺激反応の原因となる諸因子との直接の接触を避ける事が重要であり、そのためには手袋の着用が望まれます。しかし、特に夏季にはゴム製やビニール製の手袋を直接はめると中に汗が貯留して、かえって皮疹の増悪を誘発する場合もあり、注意が必要です。さらに、頻回の手洗いを好む患者さんが少なからずおられますが、過度の手洗いや消毒液の使用はかえって皮膚のバリア機能を破壊する恐れもあるため、必要以上の手洗いは避けるべきでしょう。