2021年12月1日(水曜日)
今回もまた、本年10月に開催された日本アレルギー学会の発表から学んだお話です。
納豆アレルギーに関しては、2014年10月の本コラムでサーファーなどのマリンスポーツ愛好者に多い事を紹介しました。その理由として、ポリガンマグルタミン酸(PGA)と言う物質が納豆アレルギーの原因抗原なのですが、クラゲに刺された際にPGAが体内に侵入してアレルギーの感作を誘導するため、クラゲに刺される機会の多いマリーンスポーツ愛好者に多いと考えられてきました。
しかし今回、クラゲ刺傷歴がないにも関わらず食用クラゲ摂取後に症状を発現したアレルギー症例やマリンスポーツ歴のない納豆アレルギー症例の報告がなされ、クラゲアレルギーと納豆アレルギーとの間に因果関係のない、PGAとは異なった抗原が存在している可能性も疑われる様になってきました。日本アレルギー学会では、岡山大学小児科の津下先生達はクラゲ刺傷歴や納豆アレルギーの既往がなく食用クラゲ摂取後にアレルギー症状をきたした14歳女性症例を報告すると共に、食用クラゲによるアレルギーの既報告8例中5例ではクラゲ刺傷歴があったものの、残りの3例はクラゲ刺傷歴のない小児例であったと論じておられました。また、藤田医科大学の鈴木先生達はマリーンスポーツ歴がなく、PGAのプリックテストが陰性であった納豆アレルギー症例を報告すると共に、PGA陰性の納豆アレルギー患者においてはナットウキナーゼがアレルゲンになりうる可能性を紹介しておられました。
インドア派の私の場合、納豆アレルギーは大丈夫だわとタカをくくっていましたが、どうやらそうでもなさそうですね。