2012年6月3日(日曜日)
昨日診療終了後直ちに京都に向かい、昨日の夕方から今日の午後までの間、京都国際会館で開催されていた日本皮膚科学会総会に参加してきました。
今回の学会でもまた頑張って色々と勉強してきましたが、今回は特にインバースアゴニストというちょっと聞き慣れない新しい考え方に感銘を受けました。
インバースアゴニストとは逆作用薬という意味なのですが、アトピー性皮膚炎などの慢性的な皮膚疾患の患者さんが、抗ヒスタミン薬〜抗アレルギー薬をたとえ痒みがなくなった後も長く継続して服用した方が良いという事が、このインバースアゴニストという考え方に対応しうるのです。
その理由として、ヒスタミンの受容体はこれまではヒスタミンと結合した場合のみに痒みを起こしうると考えられていたのですが、近年たとえヒスタミンが存在していない時でも受容体は絶えず部分的に自然活性していると考えられるようになってきました。従って、痒みの有無に関わらず、抗ヒスタミン薬〜抗アレルギー薬を継続的に服用している方が炎症や痒みの抑制に有効であり、こういった考え方の下で継続使用する薬剤をインバースアゴニストと呼ぶのです。
という訳で、私も患者さん方に対してこれまでにも"抗ヒスタミン薬〜抗アレルギー薬は長めに服用しておく方が良いですよ"と話してきたのですが、理論的な裏付けがなされて、これからはより確信を持って患者さん達にお勧め出来そうです。