2024年3月5日(火曜日)
近年Lipid Tranfer Protein(LTP)というアレルゲンに注目が集まっているという話は2022年7月の本ブログで述べました。また、ネギ属(ネギ、タマネギ、ニンニク、ニラなど)に対するアレルギーについては2022年11月の本ブログで紹介し、その際にはネギ属アレルギーの原因抗原として、Alliinase(alliin lyase)またはmannose-binding lectinが代表的なアレルゲンであると考えられている事についてお話しました。
しかし、この度私自身もネギ属アレルギーの患者さんを経験したためネギ属アレルギーに関する論文を集中的に読んでみたところ、LTPがネギ属アレルギーの発症に関与している事を論じた論文が意外に多く存在している事に気づきました。一例を挙げますと、モモから抽出したLTPとタマネギに対して陽性反応を示したタマネギアレルギーの45歳男性症例を報告した論文(Asero R et al:J Allergy Clin Immunol. 2001;108:309-)、モモLTPのPru p 3によって阻害が認められたタマネギアレルギーの22歳女性症例を報告した論文(Enrique E et al:Ann Allergy Asthma Immunol. 2007;98:202)、モモ抽出物で約30%阻害されたが、既知のアレルゲンのうちで熱耐性を有しているのはLTPでのみであるため、LTPが原因アレルゲンであろうと考えた加熱したタマネギ摂取後にアナフィラキシーを発症した35歳男性症例を報告した論文(Albanesi M et al:Adv Dermatol Allergol.2019;36:98-)などが認められました。
これまでLTPは主に果物類などの原因アレルゲンと考えられてきましたが、ネギ属アレルギーの発症にも関与しているとなると、今後LTPの重要性についてますます注目していく必要がありそうですね。