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2024年2月

2024年2月12日(月)

IL-4とIL-13では果たしてどちらが重要なのか?

2024年2月12日( 月曜日)

アトピー性皮膚炎の発症に強く関与しているサイトカインとしてIl-4とIL-13との2種類が挙げられますが、この両者間では果たしてどちらがより強くアトピー性皮膚炎の発症に関与しているのでしょうか?先日、IL-13阻害薬であるTralokinumabの全国講演会に参加してきましたので、今回はこの講演会で学んだ知識について紹介したいと思います。

本講演会で九州大学皮膚科教授の中原剛士先生は、IL-4およびIL-13は共にフィラグリンの産生抑制をはじめとする皮膚バリア機能の低下を引き起こすものの、IL-4は主に二次リンパ組織などの中枢で機能するサイトカインであるのに対して、IL-13は主に皮膚局所などの末梢で機能するサイトカインである事を示されました(西日皮膚. 2023;85:5〜15.)。また、アトピー性皮膚炎の非病変部および病変部では正常皮膚に比べてIL-13遺伝子の過剰発現が認められるものの、反面IL-4遺伝子はアトピー性皮膚炎の病変部においてもほとんど認められなかったとのデータ(Koppes SA et al:Int Arch Allergy Immunol. 2016;170:187-193.)や、アトピー性皮膚炎患者の病変部におけるIL-13遺伝子の発現量は急性期に比べて慢性期で増加するのに対して、IL-4遺伝子の発現量は急性期に比べて慢性期では減少すとのデータ(Gittler JK et al:J Allergy Clin Immunol. 2012;130:1344-1354.)も存在しているそうです。

このようなデータから総合的に判断すると、どうやらアトピー性皮膚炎に最も深く関わっているサイトカインはIL-13であると結論づけることが出来そうですね。

   

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