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2025年7月

2025年7月15日(火)

北海道留萌地域のホタテガイ養殖者における納豆アレルギー

2025年7月15日(火曜日)

今回も去る5月に開催された日本皮膚科学会総会で発表された興味深いお話の中から、北海道大学公衆衛生学教室の黒鳥先生が報告された“北海道留萌地域のホタテガイ養殖者における納豆アレルギー”について引用させて頂きます。

納豆アレルギーについてはこれまでにも述べてきましたが、クラゲに刺されてクラゲの体内に存在するPGA(ポリガンマグルタミン酸)に対する感作が成立して発症するとの機序より、マリンスポーツ愛好者に好発することが良く知られています。ところが、北海道留萌地域ではマリンスポーツをしないホタテガイ養殖者間で納豆アレルギーが頻発することがずっと謎とされてきました。しかし、黒鳥先生の解析の結果、北海道でも留萌より以北のホタテガイ養殖者は寒さのためゴム手袋を着用しているのに対して、留萌地域のホタテガイ養殖者は特に網の修繕作業を素手で行なっているため、PGAを含む海洋汚染物質にまみれた網を何度も素手で触って修繕することによりPGAの感作が生じることが判明しました(ちなみに、留萌地域でも漁師達は通常ゴム手袋を着用しているため、納豆アレルギーは発症していないとの事です)。今後、ホタテガイ養殖者に対しても手袋着用を徹底化していかれるそうです。

このように、アレルギーの発症には思いもよらない因子が関係している場合があるため、興味は尽きないですね。

   

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