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2013年12月

2013年12月3日(火)

"原因不明のアナフィラキシー"の原因は?

2013年12月3日(火曜日)

去る11月30日(土曜日)は診療終了後直ちに金沢に向かい、12月1日(日曜日)は終日、日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会に参加して、皮膚アレルギーの勉強に励んできました。

様々な演題を拝聴しとても勉強になったのですが、信州大学皮膚科の御子柴先生が発表された「長期にわたり原因不明のアナフィラキシー様症状を繰り返した1症例」とのタイトルの演題はとりわけ興味深いものでした。

症例を要約すると、59歳の男性が数年来、食後に顔面紅潮・呼吸困難・腹痛などのアナフィラキシー様症状を数回繰り返し、食物によるアナフィラキシーを疑われて原因食物に関する精査を行うも、原因食物が判明しないとの状況でした。
しかし、経過観察中に膵炎とその原因として胆石が見つかり、胆嚢摘出術を施行されたところ、以降はアナフィラキシー症状の出現がぴたっと止まり、最終的に胆石発作に関連したアナフィラキシー様症状と診断されました。
発症時には必ず腹痛を伴っており、実はこの腹痛はアレルギー症状ではなく胆石に伴った腹痛だったのですが、同時に発現したその他のアナフィラキシー様症状に関しては、御子柴先生は1)血管迷走神経反射、2)肥満細胞の活性化、などの機序を推測しておられました。

アナフィラキシー様発作をきたした患者さんに対して色々と原因検索を行うも、最終的に原因が判明せずに迷宮入りとの経験はこれまでに私自身にもありました。
そんな際に、アナフィラキシー様症状の原因として、アレルギー以外の疾患に対しても目を向ける必要がある事を痛感させてくれた御発表であり、私はまさに眼からウロコ状態となってしまったのでした。
   

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