2019年1月8日(火曜日)
小麦摂取後に生じるアレルギーとしては、①乳幼児に好発する小麦製品摂取直後に発症するアレルギー、②10歳代を中心として成人にも生じる小麦依存性運動誘発アナフィラキシー、がよく知られており、この両者は共に小麦の中のグルテンの一成分であるω−5グリアジンまたは高分子量グルテニンが原因抗原である場合が多いとされています。さらに、茶のしずく石鹸中の加水分解小麦に対する感作をきっかけにして小麦の経口摂取後にもアナフィラキシーを生じる患者さんが続出した事が10年弱前に大きな話題となりましたが、このタイプのアレルギーは小麦の経皮感作に起因し、ω−5グリアジンないし高分子量グルテニン以外のグルテン中の成分が原因アレルゲンである事を特徴とします。
これまで、小麦摂取後に生じるアレルギーとしては大体上記の3つのタイプに大別されていたのですが、最近島根大学皮膚科の森田栄伸教授・千貫祐子先生達は第4の小麦アレルギーとして、イネ科花粉アレルギーに伴う小麦アレルギーが存在する事を発表しておられます。
このタイプでは、小麦摂取後に生じる臨床症状は眼瞼浮腫などの比較的軽微な症状に限局する事が多く、また特異的IgE値は小麦>グルテン>ω−5グリアジンとなる場合が多い事から、原因抗原はむしろ小麦の可溶性蛋白領域に存在している可能性が疑われているそうです。
この様に我々の知らないアレルゲンのパターンが今後まだまだ報告されて行きそうですね。
特に、一見脈絡がなさそうな因子の間で交差反応性が存在している事を知ると、余りの興味深さに感動の念すら覚えてしまいます。