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2014年9月

2014年9月8日(月)

アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用剤の使い方

2014年9月8日(月曜日)

9月6日の土曜日、診療終了後に神戸で開催された兵庫県皮膚科医会学術講演会に向かい、千葉大学医学部皮膚科の神戸直智准教授によるアトピー性皮膚炎とステロイド外用剤に関する御講演を拝聴しました。

神戸先生は、ステロイド外用剤を使いたくない患者さん達の主張に耳を傾けると,皮膚炎のコントロールにステロイド外用剤が何よりも有効である事を理解しているにも関わらず、良くなると解っている治療を拒否してしまう現実、そこにステロイド外用剤との不幸な出会いがあると論じておられました。
さらに、診療する医者の義務として、皮疹の活動性が十分に鎮静化するような量の外用剤を処方し、患者さん達が不安になる前に再診してもらい、外用によってきちんと改善した皮膚を診てあげることが重要だと強調しておられました。

確かに、大人の人が全身に軟膏を塗ると1度に約20gを要するとされています。従って、1日2回全身に塗ると1週間で280gが必要な訳です。
ですので、塗るときにはしっかり大量に塗るという方法が正しい事はまず間違いありません。


では、きれいになった後、一体いつまで塗る事が必要なのでしょうか?
以前に、本ブログでも、きれいになった後もステロイド外用剤の塗布を間歇的に継続するプロアクティブ療法について述べました。
しかし相変わらずプロアクティブ療法に対する異論も存在し、私自身も患者さん方に対してしばしば、"皮疹がひどい時にはステロイド外用剤を集中的に塗るけど、良くなったらランクを弱めるか保湿剤などに変更しましょうね"と説明しています。
このような点に関して、昨日京都百万遍で皮膚科クリニックを開業しておられる、アトピー性皮膚炎の権威であり、個人的にも大変尊敬している平野眞也先生とお話をする機会がありました。
その際に、平野先生は、"きれいになっても、あと3日間ステロイドを塗りましょうね"との治療法を実践されており、この"あと3日間"に大きな意義があると言われておりました。
私も、平野先生の"あと3日間"療法を参考にしつつ、今後のコンセンサスの確立を待ちたいと考えています。

 

   
   

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