2022年12月6日(火曜日)
今月もまた、10月に開催された日本アレルギー学会学術大会で学んできたお話です。藤田医科大学アレルギー疾患対策医療学教室の佐藤先生はスパイスアレルギーの7例を報告しておられましたが、その内訳はセリ科スパイスアレルギーが4例、フェヌグリークなどのマメ科スパイスアレルギーが2例、ブラックペッパーなどのコショウ科スパイスアレルギーが1例との事でした。これまで私はスパイスアレルギーというとほぼ全てがセリ科スパイスアレルギーだろうと考えていましたので、現実的にはマメ科やコショウ科といったセリ科以外のスパイスによっても少なからずアレルギーが発症している事は驚きでした。
また、皮膚プリックテストは診断に有用であるものの、タンパク質含有量が少ないスパイスでは偽陰性反応を呈する場合があるため、注意を要するとのことでした。セリ科スパイスアレルギーとは主にヨモギ花粉との交差反応により、アニス・フェンネル・クミン・コリアンダーなどのスパイス類で広範に反応を呈する事を特徴としますが、検査には各科の代表のスパイスのみで施行して構わないと考えられており、セリ科スパイスの代表としては通常はコリアンダーを用いるそうです。今回このような多彩なスパイスアレルギーが存在している事を学び、私自身もこれまでセリ科以外のスパイスアレルギーを見落としていた可能性がありますが、今後はセリ科以外のスパイスにも注目して食物アレルギーの診断を行なっていきたいと考えたような次第です。