2011年2月27日(日曜日)
去る2月24日(木)の夜、宝塚ホテルで行われた兵庫医大皮膚科准教授の夏秋 優先生の御講演を聴きに行ってきました。
夏秋先生に関しては以前にもご紹介しましたが、皮膚アレルギー疾患および漢方薬治療に関する大家のみならず、昆虫皮膚炎に関しても日本の第一人者であられ、この日の御講演のテーマも「虫による皮膚炎の理解を深める」というものでした。
ハチ・ブヨ・ダニ・毛虫などによる皮膚炎を系統立てて説明して下さったため、とても判りやすかったのですが、中でもとりわけ驚いたことは、近年トコジラミによる皮膚炎が急増しているというお話でした。
トコジラミとはカメムシの仲間であり、年配の方にとってはナンキンムシとの名称の方が馴染み深いかも知れません。
殺虫剤の発達によりトコジラミによる皮膚炎は1970年頃には一旦激減したのですが、2005年頃から再度増加しつつあるそうです。屋内のベッドや家具の隙間に潜伏しており、夜行性で夜になると生息場所から出てきて就寝中のヒトから吸血するのですが、特に近年では各地の宿泊施設でトコジラミによる皮膚炎が蔓延しているとの事です。
毒性の問題点から一部の強力な殺虫剤が近年は使用禁止になったとの点も再増加の一因だそうですが、もしどこかに宿泊された後に露出部を中心にして痒みを伴った皮疹が生じてきた場合には、トコジラミによる皮膚炎を疑う必要がありそうです。