2011年3月6日(日)
昨日は、神戸で開催された兵庫県皮膚科医会の講演会に行き、名古屋大学医学部皮膚科教授の秋山真志先生による「アトピー性皮膚炎におけるフィラグリン遺伝子変異」とのタイトルの御講演を拝聴しました。
これまで、アトピー性皮膚炎の悪化因子として、①アレルギー素因、②精神的なストレス、③皮膚のバリア機能の障害、の3つが大きな問題と考えられてきましたが、近年アトピー性皮膚炎の患者さんの一部で特有の遺伝子異常が見つかるとの新しい見解に注目されており、秋山教授はこのような研究に関する日本の第一人者の方です。
秋山先生の御講演によると、尋常性魚鱗癬という皮膚病の場合と同じく、フィラグリンという蛋白質の遺伝子変異がアトピー性皮膚炎患者さんの約27%で検出されているそうです。名古屋大学では、アトピー性皮膚炎のテーラーメイド発症予防と銘うって、幼少時期に既にフィラグリン遺伝子変異を有しているアトピー性皮膚炎の患児に対しては積極的なバリア機能の保持のための保湿剤外用やアレルゲン対策を行う事により、その後の重症化を予防するとの対策を開始されているとの事でした。
このような検索は今のところ保険承認下で行う事は出来ませんが、近い将来一般の医療機関でもこのような対応を行う事が可能となり、アトピー性皮膚炎の重症化を未然に予防できるようになる事を切に望みたいと考えています。