2011年4月24日(日曜日)
今月も手抜きをして、「香櫨館通信」用に書いた原稿を転載してしまいます。
食物アレルギーにより生じる皮膚変化について、もう1度整理してみましょう。
これまで様々な食物アレルギーについて述べてきましたが、今回は原点に戻って、食物アレルギーと皮膚疾患に関してもう一度おさらいしてみたいと思います。
食物アレルギーによる皮膚変化は大きく分けて、1)特定の食物を食べた直後(通常30分から遅くとも1時間以内に)に口の周囲が赤く腫れたり、全身に蕁麻疹が出たり、ひどい場合には呼吸困難や血圧低下などのアナフィラキシー反応をきたす即時型アレルギー、2)食物を食べて数時間〜12時間程度経ってから、元々あったアトピー性皮膚炎の皮疹が悪化する遅発型反応、の2つのタイプに分類されます。このうち2)のタイプはほとんどが乳幼児に起こり、大部分が卵や牛乳を原因食物とする場合です。年齢が大きくなり、未熟だった消化管が徐々に成熟することに伴って、このようなタイプのアレルギーは自然寛解し、小学校入学までにはほとんどの患者さんで食物アレルギーは治癒します。従って、大人のアトピー性皮膚炎の患者さんから、"自分のアトピーには食物アレルギーは関係していませんか?"との質問を良く受けますが、そのような場合はほとんど存在していません。それに反して、1)の即時型アレルギータイプは年齢を問わず突然発症しますし、原因となる食物も様々なものが挙げられます。
ただ、大人のアトピー性皮膚炎の患者さんには食物アレルギーは関係していないとは言え、甘いものの食べ過ぎや偏った食生活がアトピー性皮膚炎の増悪の原因になる事は否めません。従って、たとえ大人の患者さんであっても、アトピー性皮膚炎の皮疹を悪化させないためにはバランスのとれた食生活や規則正しい生活を行う事がとても重要であろうと考えられます。