2021年4月18日(日曜日)
今回も、先月に続きコロナワクチンによるアナフィラキシーのお話です。接種が進まない我が国ではまだまだデータが乏しいとの現状ですが、接種が進んでいる欧州の老年医学会のワーキンググループによる “COVID-19ワクチンに対する高齢者のアナフィラキシーの管理に関する見解” がこの度Allergy誌に発表されました。
その結果、ファイザー社ワクチンでのアナフィラキシー症例の年齢中央値は40歳であり、特にアナフィラキシーが高齢者で生じやすいとのデータは得られませんでした。ちなみに発症例の90%は女性であり、アナフィラキシーは女性に好発しやすい傾向が認められました。
症状としては、高齢者では意識喪失などの心血管症状が頻繁に生じており、一方アナフィラキシーで最も多く生じる症状は蕁麻疹、血管性浮腫などの皮膚症状なのですが、高齢者では若年成人例と比較して重症例でも皮膚症状を認めない症例の頻度が高かったそうです。さらに、チアノーゼ・湿疹・めまい症状の出現は、高齢者におけるショック症状を高度に予測していたとのことです。
結論として、高齢者でCOVID-19ワクチンに対するアナフィラキシーの発症リスクが高いとのデータは得られませんでしたが、特定の薬剤の内服と多剤の同時服用は危険因子であり、特にワクチン接種と近い時期に服用されたβ阻害薬とACE阻害薬の服用はアナフィラキシー発症の危険性と関連が認められました。従って、これらの薬剤を服用されている方は、ワクチン接種と近い時間帯には薬剤の内服を控えておく方が無難かも知れませんね。