2020年8月9日(日曜日)
ストレスのない前向きな気持ちで日々を過ごすと、アトピー性皮膚炎や気管支喘息といったアレルギー性疾患の症状が緩和すると言うことはこれまでも経験的に語られていたのですが、この度山梨大学医学部免疫学講座の中尾篤人先生たちは、動物実験によってその事を実証した論文をAllergy誌に発表されました。
中尾先生の実験系では、「前向きな感情」を司る脳内の特定部位であるドパミン報酬系という部位をマウスに対して様々な手段により活性化した上で、5週間後にアレルギー反応の原因となる免疫グロブリンであるIgEを皮下注射したところ、膨疹反応の発現範囲が対照群と比較して有意に減少した事が示されました。
さらに興味深かったことは、ドパミン報酬系の活性化の手段として薬剤を用いたり、DREADDという手技を用いたりしたのに加えて、人工甘味料であるサッカリンを加えた群でもドパミン報酬系の活性化を誘発することが出来たそうです。
「前向きな気持ちで過ごす」ことが理想的であるとは判っていても現実には難しいとの事態がしばしばですが、程良い量の甘味料の摂取が「前向きな感情」を誘導してくれるとしたら、それはとても有難い事ですね。