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2021年10月

2021年10月13日(水)

時計じかけのアレルギー:体内時計によるアレルギー制御

2021年10月13日(水曜日)

緊急事態制限が解除され学会への現地参加も容易になったため、去る10月9日(土曜日)の診療終了後に横浜に向かい、10日にはパシフィコ横浜で開催された日本アレルギー学会学術大会に出席してきました。

今回はその際に拝聴した山梨大学医学部免疫学教室の中尾篤人教授による「時計じかけのアレルギー:体内時計によるアレルギー制御」とのタイトルの、大変興味深かったご講演の内容をかいつまんで紹介することにします。

従来、アトピー性皮膚炎・食物アレルギー・花粉症・気管支喘息などのアレルギー疾患はある特定の時間帯に生じやすいとの特徴が知られていましたが、その発症機序は不明でした。しかし、中尾先生達のグループは生命活動の24時間周期性のリズムを司る体内時計(時間遺伝子)がマスト細胞のIgE受容体やIL-33受容体の転写発現を時間依存性に制御し、アレルゲンやIL-33によるマスト細胞活性化反応に昼夜の日内変動を生み出していることをマウス実験系で明らかにされました。また、拘束ストレスや不規則なタイミングによる給餌によって体内時計リズムを乱したマウスではIgEやIL-33によるマスト細胞活性化反応の日内変動が消失し、常に高い反応レベルを維持することも見出されました。従って、睡眠障害・不規則な食事習慣・精神的ストレス・運動不足などといった体内時計リズムを乱す生活習慣はアレルギー症状の悪化を導き、逆にこれらを是正することによって症状の緩和が誘導されることが実証されました。

私たちもこれまでアトピー性皮膚炎の患者さん達に対して、不規則な生活やストレスの多い生活を避けるように常にお勧めしてきましたが、このことに対する科学的な裏付けが実証されて、今後はますます自信を持って患者さん達にお伝え出来そうですね。

   

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