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2022年6月

2022年6月13日(月)

痒みを増強する新規タンパク質NPTX2

6月13日(月曜日)

アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎の患者さん達は、強い痒みに悩まされている場合がほとんどです。現在痒みを抑制する主たる薬剤は抗ヒスタミン薬ですが、ヒスタミンが病態に強くは関わっていない場合もあり、そのため抗ヒスタミン薬がほとんど効かないとの患者さんも少なからず存在しています。最近では、末梢神経や表皮角化細胞などに発現しているIL-31というサイトカインが痒みに強く関与していることが判明し、近日中に抗IL-31抗体であるネモリズマブという薬剤が発売されることになり、抗ヒスタミン薬が効かない痒みに対する有効性が期待されています。

さらに、本年5月に九州大学、岡山大学、米国ジョンズ・ホプキンス大学などの研究グループは、痒い皮膚を繰り返して掻きむしることによって皮膚と脊髄とを結ぶ感覚神経中でNPTX2(neuronal pentraxin 2)という蛋白質が増加し、この蛋白質がさらなる痒みを誘発することによって、いわゆる「痒みと掻破の悪循環(itchy-scratch cycle)」が引き起こされることを見出されました。まだまだ追加研究が必要でしょうが、今後この新規蛋白質を抑制するような薬剤が開発されて、痒みで悩む患者さん方の症状を緩和する選択肢が増えることを期待したいと思います。

   

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