2022年4月12日(火曜日)
魚アレルギーに関してはこれまでにも何度か述べてきました。2021年2月の本コラムでは魚アレルギーの新規アレルゲンとして高分子量のmyosin heavy chainに注目が集まっている事を紹介しましたが、依然として魚アレルギーの2大アレルゲンはパルブアルブミンとコラーゲンであると考えられています。このうちパルブアルブミンは欧米では魚アレルギー患者の95%を占めるのに対して、日本人の魚アレルギー患者では60〜70%程度で陽性とされています。一方コラーゲンに関しては、日本人の魚アレルギー患者の約50%で陽性であり、コラーゲンは日本人の魚アレルギー患者で有意に陽性をきたしやすいと考えられてきました。
それに加えて、昨年11月に開催された日本皮膚免疫アレルギー学会で藤田医科大学総合アレルギー科の下條先生は、重症の魚アレルギー症例11例を集計して原因アレルゲンに関する検討を行ったところコラーゲン陽性が8例、パルブアルブミン陽性が5例との結果が得られた事より、魚コラーゲン特異的IgEが重症魚アレルギーを検出マーカーになりうる可能性について報告されました。現在、パルブアルブミンおよびコラーゲンの特異的IgEはコマーシャルベースでは測定できないのですが、今後これらの項目が一般のクリニックレベルでも測定できるようになる様に願っています。