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2020年10月11日(日)

ランゲルハンス細胞は皮膚に有用なのか?

2020年10月11日(日曜日)

「兵庫県医師会報」をパラパラと読んでいたところ、IHI播磨病院皮膚科の森田秀樹先生による大変興味深い記事が目に飛び込んできました。森田先生は皮膚アレルギーが御専門で、「兵庫県医師会報」にはいつも興味ある原稿を投稿しておられます。

今回の森田先生の記事の内容をみると、これまでアレルギーを発症する際に抗原提示細胞として作用し、アレルギーの発症に寄与すると考えられてきたランゲルハンス細胞に対する概念が近年変わってきているとの事でした。

亜鉛欠乏性皮膚炎という疾患があるのですが、亜鉛欠乏状態ではランゲルハンス細胞が減少しやすくなります。ところが、ランゲルハンス細胞には、ケモカイン産生を誘導して皮膚炎を起こしやすくするATPという物質を不活性化する作用があるため、ランゲルハンス細胞の減少によってかえって皮膚炎の発症が誘導されるそうです。

ランゲルハンス細胞自体による接触皮膚炎の発症についても、オランダのグループは従来通りランゲルハンス細胞の除去によって接触皮膚炎は減弱すると報告していますが、フランスのグループはランゲルハンス細胞を除去しても接触皮膚炎に影響は及ばないと、そしてアメリカのグループはランゲルハンス細胞の除去によって接触皮膚炎は増悪するとの説を唱えているそうです。

時代と共に概念が大きく変わるということは珍しくない現象ですが、このようにランゲルハンス細胞を取りまく環境も混沌としてきており、目が離せないですね。

   

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