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2020年12月24日(木)

納豆アレルギーとクラゲアレルギー再考

2020年12月24日(木曜日)

12月22日〜23日は休診にして患者様方には大変ご迷惑をおかけしましたが、高知で開催された日本皮膚免疫アレルギー学会に参加して多くの事を学んで来ました。今回はそのうちで、クラゲアレルギーと納豆アレルギーに関する新しい話題を紹介したいと思います。

納豆アレルギーに関しては以前にも述べたかと思いますが、1)サーファーなどマリンスポーツをされる方に好発する、2)納豆摂取後半日程度経過してから発症する、という特徴があります。その理由として、納豆アレルギーの原因抗原はポリガンマグルタミン酸(PGA)という物質であると考えられていますが、クラゲの針にもPGAが含まれておりマリンスポーツを好む方がクラゲに刺される事でPGAの感作が成立し、また納豆摂取時には納豆のネバネバの中に存在しているPGAが溶解してアレルギーを発症しうる分子量まで小さくなるのに半日程度を要するという要因が考えられてきました。

しかし、今回藤田医科大学の佐藤先生たちは、1)マリンスポーツをしない人たちに、2)納豆摂取後直ちに発症する、納豆アレルギー症例も存在する事を報告され、その原因蛋白として約30kDaの分子量の新規抗原を特定されました。

また、大阪はびきの医療センターの白井先生たちはクラゲを食べた後に発症したアナフィラキシー症例を報告され、会場では果たして納豆アレルギーとクラゲアレルギーの原因抗原は同一か否かという事で議論が行われました。しかし、過去のクラゲアレルギーの報告例では納豆アレルギーは有さないとの報告やPGAのプリックテストは陰性であったとの報告が認められており、納豆アレルギーの患者さんでも恐らくクラゲの摂取は可能であろうとの意見が主体となりました。

このようにアレルギーの世界ではまだまだ謎が多いのですが、細かい事ではあるものの大切な事ですし、とても興味深く感じられました。

   

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