クリニックのご案内診療のご案内フォトギャラリーHOME

2024年5月13日(月)

デュピルマブはコリン性蕁麻疹に対しても有効なのか?

2024年5月13日(月曜日)

デュピルマブ(商品名:デュピクセント)という薬剤は、アトピー性皮膚炎の治療薬として当院でも多くの患者さんに対して使用しています。ところが、2024年2月にデュピルマブは慢性特発性蕁麻疹に対する適応承認を追加取得し、慢性特発性蕁麻疹の患者さんに対しても使用が可能になりました。

慢性特発性蕁麻疹に対してはガイドラインからもある程度治療法は確定しており、まず最初は抗ヒスタミン薬を1剤用いますがそれでも新たな膨疹の出現を抑制出来ない場合には、1)抗ヒスタミン薬を倍量処方とするかまたは通常量×2剤を使用する、2)H2ブロッカーまたは抗ロイコトリエン剤を併用する、というのが通常の治療法であり、私自身もこの方法に準じて処方を行っています。それでもなお膨疹を完全に抑えきれない場合には、これまでにはオマリズマブ(商品名:ゾレア )という注射薬を併用して、この方法によって私自身も大部分の患者さんに対して蕁麻疹の出現を完全に抑制することが出来ています。ただ、私の個人的な経験では唯一コリン性蕁麻疹の患者さんに対してはオマリズマブを追加投与しても有効性は乏しいとの印象を抱いています(あくまでも私の個人的な印象ですが)。

ところが、この度Sirufo MMらは、1例報告ではあるものの、デュピルマブを追加する事によって膨疹の出現を完全に抑制しえたコリン性蕁麻疹の26歳男性症例を報告しており(Sirufo MM et al:Clinical、Cosmetic and Investigational Dermatology. 2022;15:253-260.)、蕁麻疹のうちで最も治療が困難なタイプであるコリン性蕁麻疹に対しても、もしかするとデュピルマブが有効であるとの可能性も期待出来そうです。もし可能であれば、今後症例を蓄積して有効性を確認していきたいと考えています。

   

バックナンバー

Copyright © Harada Skin Clinic. All rights reserved.  無断転載を禁じます