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2024年8月6日(火)

蕁麻疹と抗TPO抗体

2024年8月6日(火曜日)

抗TPO抗体(抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体)は甲状腺細胞の崩壊に伴う腫大(甲状腺腫)がみられる場合に最初に測定すべき抗体であり、バセドウ病の90%、橋本病のほぼ100%で抗TPO抗体は高値を示すとされています。また、以前から慢性蕁麻疹と橋本病との関連性は論じられており、杉山先生らによる集計では、検討した慢性蕁麻疹患者さん63名中17名(27%)で抗TPO抗体、抗Tg抗体(抗甲状腺サイログロブリン抗体)のいずれかまたは両者が陽性であり橋本病と診断されたものの、うち14例は甲状腺ホルモン値自体は正常であり、自己抗体のみが陽性の橋本病であったそうです(杉山晃子ほか:皮膚病診療. 2014;36:808-812.)。

という知識を踏まえた上で、7月末に大阪医科薬科大学皮膚科の福永 淳先生による蕁麻疹に関するご講演を拝聴しましたが、講演の中で福永先生は慢性蕁麻疹症例における抗TPO抗体測定の意義についてお話しされ、特に総IgEが低値でかつ抗TPO抗体陽性の慢性蕁麻疹患者さんの場合にはオマリズマブの効果が乏しい傾向があるとの画期的なデータについて発表しておられました。

私自身はこれまで慢性蕁麻疹患者さんに対して抗TPO抗体を測定することは行っていませんでしたが、今後抗TPO抗体や抗Tg抗体も測定することも望ましいかも知れませんね。

   

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