日本アレルギー学会とは、皮膚科のみならず、内科特に呼吸器科・耳鼻科・眼科・小児科など様々な診療科の医療関係者が集う大規模な学会ですので、約14カ所の会場において同時進行で様々なテーマのセッションが催されます。
今回、私は食物アレルギーのセッションとアトピー性皮膚炎のセッションを中心に参加しました。
アトピー性皮膚炎に関しては、その免疫的な発症機序を解析するという基礎研究の発表が多かったのですが、臨床的に興味深かったのが「腸内細菌とアトピー性皮膚炎」というお話でした。
最近、腸内細菌の過剰な除去によって免疫的なアンバランスが生じ、それによってアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の発症の増加につながるとの見解が主流となりつつあります。そのため、お母さんの腸内にビフィズス菌などの善玉腸内細菌を増加させると、生まれてくる赤ん坊にアトピー性皮膚炎が起こりにくいとの可能性も期待され、プロバイオティクスという腸内細菌を増加させる食物を予防投与するとの試みが行われているとの事です。果たして、このような試みがどの程度有効であるかについては未だ確立したデータは存在していないようですが、今後の研究の成果を待ちたいと思います。