アレルギーよもやま話 第15回
ピーナッツアレルギー
ピーナッツアレルギーが好発する理由として、欧米ではピーナッツバターなどを食べる機会が多いことに加えて、ピーナッツオイルを含んだスキンケアクリームを塗る事によってもピーナッツアレルギーを獲得しやすいとされています。ところが、大変興味深い事に中国では欧米に劣らない程度の量のピーナッツを摂取しているにも関わらず、中国でのピーナッツアレルギーの発症はきわめて稀なのです。その理由としては、欧米ではピーナッツを主に煎って調理するのに対して、中国では通常煮たり揚げたりとの調理法がなされているのですが、ピーナッツを煎ると約170℃との高温に達しアレルギーの抗原性が増強するのに対して、煮たり揚げたりした場合には約100〜120℃の温度となり、アレルギーの抗原性はむしろ減弱するとの機序が推測されています。
また、きわめて重篤な症状をきたす場合が多いという点もピーナッツを始めとするナッツアレルギーの特徴であり、ナッツアレルギーは欧米での食物によるアナフィラキシーによる死亡例の半数以上を占めています。今のところそれほど発症例は多くはありませんが、日本人のライフスタイルの欧米化に伴って今後我が国でもピーナッツアレルギーも増加するのではないかと危惧されているため、注意が必要です。