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2016年11月

2016年11月8日(火)

異性化液糖を含む食品によるアレルギー

2016年11月8日(火曜日)

11月5日(土)は休診にさせて頂き、5日〜6日と新宿京王プラザホテルで開催された日本皮膚アレルギー学会に出席してきました。
今回も学ぶところの多い学会でしたが、その中でここでは兵庫県立加古川医療センターの足立先生が報告された、異性化液糖を含む食品によるアレルギーについて紹介する事にします。

異性化液糖とはでんぷんをアミラーゼなどの酵素または酸により加水分解して得られた主としてブドウ糖からなる糖液をグルコースイソメラーゼまたはアルカリにより異性化したもので、そのうち果糖含有率が50~90%のものを特に果糖ブドウ糖液と呼ぶそうです。
砂糖よりも甘味が口の中に残りにくく、また低温条件下で甘味度を増すため清涼飲料水や冷菓などに多く使われており、その他缶詰・パン・調味料などにも一般的に使用されているとの事です。

但し、1)遺伝子組み換え操作を行ったトウモロコシでんぷんを原料に用いている点、2)果糖はブドウ糖よりも10倍レベルで、脳梗塞や心筋梗塞の原因となりうるAGEs(終末糖化産物)を作りやすい点、などの理由によって、従来より異性化液糖は危険な食品であるとする見解も存在していました。

それに加えて、今回足立先生は、異性化液糖によって口腔内浮腫・全身の蕁麻疹・鼻汁などの即時型アレルギー症状を呈した症例を提示されましたので、アレルゲンという観点からも異性化液糖は注意を要する物質と考える必要があるかも知れません。

今後、原因不明のアレルギーをきたした患者さんに遭遇した際には、医師は異性化液糖または果糖ブドウ糖液という言葉を記憶しておき、食品の成分表を見る際には注目する必要がありそうです。
   

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