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2018年10月

2018年10月21日(日)

メタクリルレジンによるアレルギー性手湿疹

2018年10月21日(日曜日)|

昨日10月20日には夕方から兵庫県臨床アレルギー研究会が開催され、診療終了後に急いで三宮へと駆けつけました。
埼玉県済生会川口総合病院皮膚科部長の高山かおる先生による手湿疹の特別講演が行われましたが、高山先生は日本皮膚科学会による"手湿疹ガイドライン"を編纂された先生であり、接触皮膚炎や手湿疹の診断や治療の日本の第一人者の方なのです。

昨日もアレルギー性皮膚炎や手湿疹に関する興味深いお話を沢山拝聴しましたが、そのうちで今回はメタクリルレジンアレルギーによる手の接触皮膚炎のお話をする事にします。
メタクリルレジンは歯の保存修復目的で1940年代から歯科治療に用いられているレジン製剤ですが、歯科従事者を中心に、印刷業、塗装業、冶金業、ネイルやグラスファイバー関連など、メタクリルレジンを扱う方々の指や手に接触皮膚炎を起こしやすい原因物質なのだそうです。
その臨床像は特徴的であり、ある日突然に指腹に痒みを伴った浸潤性紅斑・水疱性皮疹が生じ、以降全指に拡大するとの事です。また、時には灼熱感や刺される様な痛みを感じる場合もあり、皮膚炎治癒後も指先の知覚鈍磨がしばらく持続する事もあるそうです。
但し、我が国では報告が少なく、診断がつかないまま見逃されているために漫然と症状が持続している患者さんも少なからずおられるのではないかと危惧されています。

私もこのアレルゲンについてはよく知らなかったのですが、今後1)歯科従事者を主体としたメタクリルレジンを扱う仕事に従事している方に、2)特徴的な皮疹が生じた、場合には、メタクリルレジンアレルギーの可能性も疑って対応していきたいと思います。



   

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