2010年1月15日(金曜日)
昨日の夜に、宝塚ホテルで西宮市皮膚科医会新年会が開催されました。食事の前に、兵庫医科大学皮膚科講師の上田英一郎先生による「皮膚疾患に対する心身両面からのアプローチ」とのタイトルの講演を拝聴しました。上田先生は皮膚科領域、特にアトピー性皮膚炎における心理療法の第一人者と呼べる先生です。上田先生はご発表の抄録で、以下のように述べておられます。『ストレスがアトピー性皮膚炎の発症・悪化にかかわっていることは,多くの皮膚科医が感じていることあるが,その具体的な対処法はまだよく知られていないのではないだろうか.そのため,アトピー性皮膚炎患者を診察していて,「どうもうまく治療ができていない・・・」と感じたことがあるという若い医師も少なからずみられるようである.医師がそう感じている時は,患者もその雰囲気を感じ取っている可能性もあり,医師のこのような感覚・態度は,患者自身の「ここに通っていれば良くなるかも知れない」という期待感をもたらさないばかりでなく「アトピー性皮膚炎のコントロール不能感」を募らせ,難治化の一因となっていると考えられる.このような場合は,医師・患者関係を見直しつつ,患者の心理社会的要因(心理社会的ストレス)にアプローチすると治療意欲が高まり,症状が劇的に良くなることがある.』
確かに、私もストレスが悪化要因として作用していると感じるアトピー性皮膚炎の患者さんを多数経験します。一般的にアトピー性皮膚炎の患者さんは心優しい良い人なのですが、反面真面目すぎて多少融通がきかないような方が多いような印象を抱いています。逆に、“ちゃらんぽらん”な性格で軟膏も真面目に塗ってくれないような患者さんの方が、いつの間にか良くなってしまう傾向があります。そういった意味から、私も「アトピー性皮膚炎に対する心理的アプローチ」のテクニックを駆使する事が出来ると、もっと上手く患者さんとコミュニケーションを取れるようになる事でしょう。まだまだ勉強が必要です。