アレルギーよもやま話 第17回 アトピー性皮膚炎のプロアクティブ療法
最近、アトピー性皮膚炎の患者さんの外用剤の使い方に関して、プロアクティブ療法との方法に注目が集まっています。プロアクティブ療法とは、たとえ皮疹が軽快した後もステロイド軟膏やタクロリムス(プロトピック®)軟膏の外用を中止せず、外用の頻度を減らしながら継続する事により、急性再増悪を防ぎ、無症状の状態を長期間維持する事を目的とした治療法を言います。この治療法の根拠として、外用剤の使用によりたとえ皮疹が改善して見た目がツルツルになっても、組織中には僅かながら炎症細胞が残存しており、軽度の炎症変化がしばらくは持続する事が近年実証されるようになってきました。そのために、良くなった時点で直ちにステロイド軟膏やタクロリムス軟膏の外用を中止すると、短期間のうちに皮疹が再増悪する場合が多いのです。
プロアクティブ療法の具体的な外用方法としては、皮疹が軽快した後、良い状態を保ちつつ外用の回数を徐々に減らしていって、最終的には週に2〜3回程度のみの外用を継続するとの方法が一般的です。但し、私達もこれまでには患者さん方で対して、"ステロイド軟膏は肌がツルツルになるまでは1日に最低2回はきっちり塗って、良くなったら直ちに中止して、ステロイドの入っていない塗り薬に変更していきましょう"との説明を行ってきました。患者さん方の中には、"良くなってるのにステロイド軟膏を塗り続けるなんて、そんな怖ろしい事嫌やわあ〜"と考えられる方も当然おられるでしょう。
プロアクティブ療法はまだまだ歴史の短い治療法ですので、その有効性と安全性に関しては、今後より長期的な検証が必要です。しかし、プロアクティブ療法を継続し寛解状態を長期間維持する事により、アレルギー体質の指標である総IgE値が低下してくるとのデータも報告されていますので、とりあえず注目に値する治療法であると考えられます。