2012年4月8日(日曜日)
ほんの少し前までは、アトピー性皮膚炎の患者さん達に対して冬季の乾燥予防の話をしていたのですが、早くも汗ばむ季節となり、汗対策についてお話ししないといけないようになってきました。
ちょうどそんな折、昨夜には大阪でアトピー性皮膚炎に関する講演会があり、診療終了後に梅田まで出かけてきました。
大阪大学皮膚科の片山教授と自治医科大学皮膚科の大槻教授による御講演で、どちらも示唆に富んだ素晴らしい御講演でしたが、中でも片山教授のお話は「アトピー性皮膚炎と汗」とのタイムリーなテーマの御講演でした。
片山教授の御講演の要旨を簡単に説明しますと、アトピー性皮膚炎と汗との関係は、1)汗特異的IgEの上昇、サブスタンスPなどの起痒物質やIL-6・IL-8などのサイトカインの上昇といった発汗の亢進による悪影響、2)皮膚温の上昇、皮膚の乾燥、皮膚バリア機能の低下などといった発汗の低下による悪影響、とに大別されるものの、我々が留意するべき事はむしろ発汗の低下であろうとの事でした。
従って、これからの季節もアトピー性皮膚炎の患者さんは、サウナに入ったり適度の運動をしたりして、程良く汗をかく事が大切だと述べておられました。
暑くなったら、子供さんに汗をかかせないようにエアコンでがんがん冷房をきかしていますとおっしゃるお母様もおられますが、これはむしろ逆効果と言えるでしょう。
私もアトピー性皮膚炎の患者さんに対しては、これまでにも"たとえ夏でも程良く汗をかくようにして、但しその汗が長時間皮膚についたままにしないで頻繁にシャワーを浴びたり、濡れタオルで拭き取ったりしていって下さい"とお話ししてきましたが、片山教授の御講演からも、その考え方で間違いはなさそうです。