2014年6月1日(日曜日)
昨日5月31日の診療終了後直ちに京都に向かい、昨日の夕方から今日の午後まで、国立京都国際会館で開催された日本皮膚科学会総会に参加してきました。
今回も興味深い情報を多々得る事が出来ましたが、その中から今回は、国立成育医療センターアレルギー科の大矢幸弘先生による"小児アトピー性皮膚炎の予防は可能か?"との御講演の要旨を紹介する事にしましょう。
まず、ハウスダスト・ダニなどの環境抗原を除去してもアトピー性皮膚炎の発症は予防出来ず、アレルゲンの回避ではアトピー性皮膚炎の発症は予防できないとの事でした。
また、1)妊娠中・授乳中に母親が食物除去を行っても児のアトピー性皮膚炎の発症は予防できない、2)離乳食の開始を遅らせる方が2歳時でのアトピー性皮膚炎の発症率はむしろ高まる、3)母乳栄養によるアトピー性皮膚炎発症の予防効果はなく先進国ではむしろ発症率が増加している、とのデータがあり、食事面からの予防も不可能だそうです。
さらに、欧米ではイヌを飼うとアトピー性皮膚炎発症を予防しうるとのデータがあるそうですが、反面アジア・オセアニアでは有効なデータは得られず、我が国ではペットの飼育による発症の予防効果も認められていない様です。
結局唯一、生下時から保湿剤を予防的に外用しておくとアトピー性皮膚炎発症を予防しうるとの可能性があるそうですが、これも今後の大規模研究が必要との事でした。
なかなか一筋縄ではいかないみたいですね。