2018年8月21日(火曜日)
今月も、先月に続いて慢性蕁麻疹に関するお話です。
通常、蕁麻疹に対する第一選択薬は抗ヒスタミン薬になりますが、我々も時々抗ヒスタミン薬が全く無効な慢性蕁麻疹症例を経験します。
無効である原因がどこにあるのか?これまで全く解ってなかったのですが、モスクワのKolkhir医師達は慢性特発性蕁麻疹患者1253例に対して炎症のマーカーであるCRP(C反応性蛋白)を測定したところ、約1/3の症例でCRPが高値であり、特に1)自己血清皮内テスト陽性例、2)蕁麻疹の活動性が高い症例、3)抗ヒスタミン薬が無効な症例、でCRP値が高かった事を報告しています(Allergy、2018;73:940-948.)。
このうちとりわけ興味深いのは抗ヒスタミン薬が無効な症例との因果関係であり、少なくとも抗ヒスタミン薬が効きにくい慢性蕁麻疹症例に対してCRPを測定する事は今後行ってみる価値があるようです。
そして、症例を集積する事によって、抗ヒスタミン薬が無効なCRP高値の慢性蕁麻疹症例に対して、抗ヒスタミン薬にとって代わる有効な治療手段が見つかる事を切に望みたいと思います。