2020年6月14日(日曜日)
相変わらずコロナ禍で勉強会や講演会は開催されませんが、昨日の夕方Webで札幌皮膚科クリニック院長の安部正敏先生によるアトピー性皮膚炎の新規治療外用薬に関する御講演が行われましたので、モニターにかじりついて拝聴しました。
この薬は、デルゴシチニブ軟膏(商品名:コレクチム軟膏)という名称のお薬で、外用ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤に属します。ヤヌスキナーゼ(JAK)とはIL-4、IL-13、IL-31といったアトピー性皮膚炎の発症に関与するサイトカインの受容体に会合するチロシンキナーゼであり、JAK阻害剤はこの径路を抑える事によって、アトピー性皮膚炎の発症を抑制するとの事です。
安部先生は、この新規薬剤についてとても分かりやすく解説して下さいましたが、特にIL-31に起因した痒みを抑えてくれるとの特徴を有しており、また分子量が310Daと小さいため角質層の透過性が良好との事でした。ステロイド外用剤との効果を直接比較した研究データが今の所存在しないため、果たしてステロイド外用剤と比べてどの程度有効であるかは不明ですが、こうして治療法の選択肢が増えるということは患者さんにとっても我々皮膚科医にとっても喜ばしいことであると思います。