2021年7月11日(日曜日)
本年3月の本ブログで、コロナワクチン接種後に生じるアナフィラキシー反応はほとんどの場合がポリエチレングリコール(以下PEG)アレルギーに起因すると考えられていると述べました。この度、サーモフィッシャーダイアグノスティック社からPEGアレルギーに関する詳細なニュースレターが届きましたので、ここに引用させて頂きます。
その文献に基づくと、PEGアレルギー症例において、発症前に化粧品、衛生用品、入浴剤などの使用によって軽い症状の発現を経験している症例が少なからず認められる事より、感作は日常での化粧品などによる経皮感作の可能性が指摘されています。PEGアレルギーの特徴として、PEGは様々な物質に含まれているため、多種類の構造的に関連のない薬剤や製品によってアナフィラキシーを起こす例が多いことが挙げられ、薬剤によって繰り返し原因不明のアナフィラキシーを起こす例ではPEGアレルギーを疑うべきと報告されています。但し、最も発症頻度が高い原因物質は大腸内視鏡検査時に投与される腸管洗浄剤ですが、腸管洗浄剤に使用されるPEGは分子量3000g/ml以上のものであり、腸管からの吸収率が低いにも関わらず重篤なアレルギー症状を起こす理由については不明との事です。
コロナワクチンとの関連については、最近Pitlickらがワクチンの初回投与時にアレルギー反応を生じた8例の患者さんに対してPEGおよびPEG含有薬剤のプリックテストを施行したところ全例陰性であり、2回目の接種が可能であったと報告しています。従って、真のアレルギー反応ではないのか?、その他の未知のアレルゲンが存在しているのか?、今後のさらなる検討が必要であると思われます。