2021年8月5日(木曜日)
モデルナアームとは、モデルナワクチン接種後8〜10日程度経過してから、接種部位から末梢側にかけて手拳大の発赤〜腫脹をきたす病態を呼びます。80%以上が女性に発症し、20代から40代の比較的若年世代に生じやすいことを特徴とします。今ではすっかり有名になってしまいましたが、当初は当院に受診された患者さんに対しても診断がつきませんでした。しかし、文献を調べると海外からは比較的早い時期から論文が発表されていることが判明しました。
発症機序に対しては明らかにされていませんが、IgGを介した遅延型アレルギー説などが論じられています。但し、ファイザー社製のワクチンとモデルナ製のワクチンとの構造学的な代表的な違いはmRNAを包む殻が異なるのですが、この部分が発症の誘因になっているのか否かに関しては未だ不明です。
皮疹に対しては、放置しておいても1週間程度で自然消退しますが、局所を冷やすことが有効とされています。また、ステロイド外用剤を塗布することは抗体産生の妨げになるのではないかと私自身も当初処方するべきかどうか悩んだのですが、現在ではステロイド軟膏の外用も問題ないと考えられています。
1回目の接種でモデルナアームを発症した人は2回目の接種後にも同様の皮疹をきたす可能性が高いのですが、出現時期は1回目よりも早く症状は軽微である場合が多いとされていますので、たとえ1回目の接種後にモデルナアームを発症したとしても2回目の接種を躊躇する必要はなさそうです。