2009年11月8日(日曜日)
昨日はクリニックを休診にしてご迷惑をおかけしましたが、昨日〜今日の2日間京都で開催された日本皮膚アレルギー学会に参加して、色々と学習してきました。アトピー性皮膚炎の患者さんにはフィラグリンという物質に対する遺伝子異常があるかも知れない事、ラモトリギン(商品名ラミクタール)という新しい抗てんかん薬による重症型薬疹の報告が複数例認められている事、トリクロロエチレンという有機溶剤による皮膚障害の報告が注目されている事など、脳裏に留めておかねばならない事項が多数ありました。しかし、とりわけ私にとって感動的だったのは、これまではひたすら除去していく事が重要とされた小児の食物アレルギーに対して、積極的に食べさせていく治療法が日本でも既に始まっているという事でした。抄録から少し引用してみますと、“アレルギー疾患の対応の大原則はアレルゲンとの接触を可能な限り断つことであり、食物アレルギーでは原因食品を除去して耐性化を待つ方針が一般に指導されている。しかし一方で、経口摂取した蛋白に対しては免疫反応が抑制される傾向免疫寛容は古くから知られている現象で、その機序の解明も進んでいる。この事と食物アレルギーの治療が結びつき、ここ数年食物アレルギー患者にアレルゲン食品を計画的に摂取させる治療の報告が海外では急増している。”との理由で、神奈川県立こども医療センターアレルギー科の栗原先生は、計画的な食物負荷治療の結果報告とその成果に関する紹介をなされました。この事はこれまでの指導法を根幹から覆すような衝撃的な治療法ですが、ただ負荷量を間違えると症状誘発を生じかねません。私にはこのような治療法を率先して行う勇気がありませんが、今後の成り行きを注意深く見守っていきたいと思います。