2015年2月27日(金曜日)
昨日の夜は、神戸市立医療センター中央市民病院皮膚科主催のカンファレンスに出席し、大阪府立呼吸器アレルギー医療センター皮膚科主任部長の片岡葉子先生の御講演を拝聴しました。
最近、食物アレルギーの発症機序に関しては、食べこぼしが口の周りの皮膚から侵入する等の、いわゆる経皮感作により発症し、食べる事によって逆にアレルギーは起こりにくくなるとの考え方が主流になってきています。
そのため、授乳の際には、食物抗原の侵入を予防する目的で、赤ん坊の口の周囲に前もってワセリンなどを塗布しておく事が推奨されたりしています。
ところが、昨夜の片岡先生の御講演は、「乳児アトピー性皮膚炎と食物アレルギー〜経皮感作説にもの申す〜」との物々しいタイトルであり、食物アレルギー=経皮感作説に真っ向から反旗を翻すような内容の御講演でした。
片岡先生の御経験では、早期の炎症のコントロールで食物の特異的IgEが低下する場合は良くあり、従って食物アレルギーの発症は皮膚炎の悪化による増幅であろうとの機序を推論しておられました。
そのため、アトピー性皮膚炎を発症した乳児に対しては、早い時期からきっちりステロイド外用によるタイトコントロールを行う事が、食物アレルギーの発症予防および症状の緩和を導くのだと強調しておられました。
私も患者さん方には、食物アレルギー=経皮感作説について随分お話してきましたが、どうも一筋縄ではいかないみたいです。今後もこの分野の新たな展開から、眼を離す事が出来ません。