2020年3月5日(木曜日)
牛肉や豚肉の摂取は可能なのに鶏肉を摂取した時だけにアレルギー症状を発症する"鶏肉アレルギー"に関しては、魚やネコの毛〜フケとの交差反応性が考えられてきました。このうち前者はfish〜chicken症候群との名称で本ブログの2016年8月に、後者はpork-cat症候群との名称で2017年8月に紹介してきました。
しかし、オーストリアのHemmer先生らは2016年に魚やネコの毛〜フケとも交差反応性を示さない純粋な鶏肉アレルギー症例28例を集計した結果を報告されていますので、今回は純粋な鶏肉アレルギーについてお話する事にします。
Hemmer先生らの集計によると、多くの症例は学童期から鶏肉アレルギー症状を発現しており、臨床症状は消化器症状、口腔内症状、皮膚症状、呼吸困難の順に多かったとの事です。
アヒル・ウズラ・ガチョウなどの肉でも症状を発現する場合がありましたが比較的症状は軽微であり、むしろ七面鳥の肉の摂取後に鶏肉と同様の重篤な症状をきたす場合が多かった様です。
重篤な症例では、鶏肉や七面鳥肉を調理中の湯気を吸入しただけでアナフィラキシー症状をきたしたようなケースも報告されています。
原因アレルゲンとしては、αリベチンやミオシンライトチェーンなどが候補として挙がっているそうです。
このように、鶏肉アレルギーにも様々な感作パターンが存在していると考えられますので、私達もこの様な点に関してもっと深く勉強する必要がありそうですね。