2023年6月6日(火曜日)
アトピー性皮膚炎の発症に関与した主たるサイトカインはIL-4とIL-13であると考えられており、実際この2種類のサイトカインによる反応を抑制するデュピルマブ(商品名:デュピクセント®)という薬剤は、当院でも多くの患者さんに対して使用しており高い有効性を示しています。
さらに、この両者のうちのIL-13のみに的を絞った阻害薬に関する研究が進んでいます。しかし、IL-4とIL-13との両者を阻害する薬剤と比べて、IL-13のみを阻害する薬剤では有効性は乏しいのではないかと考えがちですが、米国ポートランド州のOregon Health &Science University皮膚科のSimpson先生たちのグループは、IL-13阻害薬であるLebrikizumabと外用ステロイド剤とを併用する事で高い有効性を示したとの結果を報告しておられます。Lebrikizumabは本邦では未発売ですが、同じIL-13阻害薬であるTralokinumabという製剤は近日中に本邦でも発売予定です。IL-4とIL-13との両者を阻害する薬剤と比較して、高親和性にIL-13のみを強力に阻害する薬剤はどの程度の有効性を示すのかという点に関しては私たちも興味津々ですが、いずれにしてもこのようにアトピー性皮膚炎の治療薬の選択肢が増えていくことは大いに歓迎すべきことですね。